ベンジャミン・フランクリンとは
ベンジャミン・フランクリンは、政治家、実業家、科学者、外交官、著作家など様々な顔を持ち、そのすべての分野で成功を収めたアメリカを代表する偉人。
平民出身で満足な教育を受けられなかったにもかかわらず、
ベンジャミン・フランクリンは自由で独立した精神を発揮しアメリカ史に残る業績を残した。
そんなベンジャミン・フランクリンの生涯・人柄・言葉などから学べることを以下の3つの視点から紹介していきたい。
- 科学分野の発展に貢献したあくなき探求心と行動力
- 実業家としての側面を支えた合理主義と勤勉性
- 政治家として大仕事を達成させた公に奉仕する精神
ベンジャミン・フランクリンの生涯と人柄から学ぶ!
ベンジャミン・フランクリンの生涯
フランクリンは1706年、イギリス統治下のアメリカ・ボストンで誕生。
17人兄弟の15番目であり、家計は困窮を極めていたため学校教育を早々に切り上げ、12歳の時には兄の経営する印刷工場で働き始める。
その後、印刷業に従事しながら各地を転々とし20代前半で独立、アメリカ発のタブロイド紙を発行するなどして成功を収めた。
1731年にはアメリカ初の公共図書館をフィラデルフィアに建設。
名声を得ると今度は政治家へ転向。
フランクリンが政治家としても成功を収める中、1774年にはアメリカ独立戦争が勃発。
ここでフランクリンは八面六臂(はちめんろっぴ)の大活躍。
フランクリンは、アメリカ独立宣言の起草委員として働き、更にフランスに外交官として派遣されると、粘り強い交渉で独立に対するフランスからの支持を引き出した。
アメリカ独立の立役者となった後も晩年まで精力的に活動、1790年に死去すると国葬が営まれ、国中がフランクリンに哀悼の意を捧げた。
フランクリンは現在でも100ドル紙幣の肖像として、アメリカで高い人気と知名度を誇っている。
ベンジャミン・フランクリンの人柄
数々の成功を収めたベンジャミン・フランクリンであるが、彼を突き動かしていたのは旺盛な好奇心とチャレンジ精神である。
フランクリンの人柄を表すこんなエピソードがある。
雷の性質について興味を持ったフランクリンは、雷がとどろく嵐の中で、電気を貯めておける瓶を括りつけた凧を飛ばした。
凧には雷が落ち瓶の中に電気がたまっていることを確認。 この瞬間、雷が電気であること、雷雲は帯電していることなど科学史に残る大きな発見を達成した。 |
フランクリンの実験は命にもかかわる非常に危険なもの。
一つ間違えたら死んでいたが、フランクリンの探求心の前では死すら小さなことだったのだ。
更にそこで終わらないのがフランクリンの凄さ。
実験から得た知見を生かし、なんと現在で言う避雷針まで作り上げてしまったのだ。
このように、彼の生涯は困難な冒険の連続であり、すすんでその冒険に飛び込みやり遂げてしまう稀代のチャレンジ精神の持ち主でもあった。
ベンジャミン・フランクリンの13徳・精神・名言から学ぶ!
成功を引き寄せるフランクリンの13の徳目
幅広い分野で業績を残したフランクリンは、「フランクリン自伝」という有名な著作も残している。
晩年の彼が自分の人生をユーモアたっぷりに語り、アメリカを始め世界中で現在も読み続けられるベストセラーになっている。
自伝の中で彼は、自分が実践してきた生き方をまとめており、フランクリンの13徳として広く知られている。
そこには、節約、沈黙、規律、勤勉、誠実といった項目が並んでいる。
当たり前のことかもしれないが、忙しい日々の中で忘れがちなことでもある。
ビジネスマンが基本に立ち返りたい時には、フランクリンの13徳を思い出してみるのもいいだろう。
1.節制
飽きるほど食べてはいけない。
酔うまで飲んではいけない。2.沈黙
自他に益なきことを語るな。
駄弁を弄してはいけない。3.規律
物はすべて所を定めて置くように。
仕事はすべて時を定めてなすように。4.決断
なすべきをなさんと決心すること。
決心したることは必ず実行すること。5.節約
自他に益なきことに金銭を費やしてはいけない。
すなわち、浪費するなということ。6.勤勉
時間を空費するな。
つねに何か益あることに従うべきだ。
無用の行いはすべて断つこと。7.誠実
詐りを用いて人を害してはいけない。
心事は無邪気に公正に保つこと。
口に出ですこともまた同じである。8.正義
他人の利益を傷つけ、あるいは与うべきを与えずして人に損害を及ぼしてはいけない。9.中庸
極端を避ける。
たとえ不法を受け、憤りに値すと思うとも、激怒を慎むように。10.清潔
身体、衣服、住居を不潔にしてはいけない。11.平静
小事、日常茶飯事、または避けがたき出来事に、平静を失わないように。12.純潔
性交はもっぱら健康ないし子孫のためにのみ行い、
これにふけりて頭脳を鈍らせ、身体を弱め、または自他の平安ないし、信用を傷つけるがごときことがあってはいけない。13.謙譲
イエスおよびソクラテスに見習うべし。
フランクリンは、これらを週に1つ実践することを進めている。
1年間続けると約4回転できる。
こう考えると、一年できることは決して少ないと思える。勇気をもらえる気がする。
フランクリンの奉仕の精神
フランクリンがここまで高い評価を得たのは、その業績のためだけではない。
彼は常に人々や社会へ奉仕することを忘れることはなかった。
先に述べた避雷針や遠近両用メガネといった発明をしたが、特許を取ることなく社会に還元することを優先した。
そのようなフランクリンだったからこそ、晩年にはアメリカ独立戦争における大役を果たすことができたのだ。
フランスがアメリカ独立軍の支援に回ったのは、フランクリンの人柄と知性に動かされたからである。
己の利益に満足することなく、常に視線を天下国家に向ける。
現代の経営者にも求められる資質であろう。
ベンジャミン・フランクリンの名言
フランクリンの13徳に加え、彼の名言をいくつか紹介したい。
似たようなフレーズを一度は聞いたことがある、という方も多いのではないだろうか。フランクリンの言葉は、現代のビジネス書に引用されたり、経営者などリーダーの思想に影響を与えていることが推測されると思う。
- 今日できることを明日に延ばさない。
- 今日一日は、明日の二日分の価値がある。
- 小さなことでも見落とすな。ほんの少しの水漏れから、大きな船は沈んでしまう。
- 貧乏が恥ずかしいのではない。貧乏を恥ずかしいと思っていることが恥ずかしいことである。
アメリカ建国の父の一人の偉業を「フランクリン自伝」でさらに詳しく
アメリカ建国の父の一人として名高く、現代でも広く親しまれているフランクリン。
数々の成功を手にした彼の人生と精神からは、現代に生きる私たちも広く学べるところがある。
「フランクリン自伝」は日本語訳も発売されているので、興味を持った方手に取ってみてはいかがだろうか。