okcomeonfreedom(女性・30代前半)
曹操孟徳は戦乱に荒れ果てた中国大陸を統一に近づけた才能溢れる人物である。才能溢れる部分は他の国の王や偉人などにも見られるので、ここでは割愛する。
私は欲深い点、女好きな点等、総じて人間臭い点を挙げたい。
相手の陣営に気に入った人物がいれば引き抜こうとする点。
徐庶の他、関羽、趙雲もそれに当たる。
他人の芝は青く見えるのだろう。
人間には誰しも欲があるもの。
それを臆面なく物語の中で紹介されている人物は珍しいのではないか。
次に女好きな点。
男性なら誰しもが富を手に入れた後は女性を自分のものとしたいのだろう。
昔の一夫多妻制、英雄色を好むとはこのことである。
そして女性を手に入れるためにしたことで自分自身が危機に陥っているのである。
今の世の中でも不倫が取り沙汰されているが、欲をかくとロクなことにならないのである。
最後に赤壁の戦い後の土下座である。
王ともあろう者が兵士の前で命乞いの土下座ができるものだろうか。
曹操という人物は私達に人間らしさを教えてくれる偉人と言える。
曹操孟徳の生い立ち・地域・生年月日・時代背景・何をしたか
曹操孟徳とは、約1800年前、中国が魏・呉・蜀の3つの国に分かれ(後漢時代、三国時代)、中国の統一を果たそうとした激動の時代の魏の王である。
そして詩人、政治家、兵法家としても名を残す。
幼名は阿瞞。
子供のころから人を欺くことに長けていた。
父は曹嵩といい、大尉(軍部における大臣)であった。
155年に生まれ220年に病死。
小柄な人物だったようで、今でいう約160cm程しか身長がなかった。
曹操の墓と思われる墳墓が2009年に発見されたが、彼の一族のものとも言われ、決定的なものとは言えないようだ。
若いころ、有名な占い師に「治世の能臣、乱世の奸雄」と評された。
平和な世の中でも乱れた世の中でも優れた人物として活躍できるということである。
当時、漢の皇帝を傀儡とし実権を握っていた董卓を倒すために中国各地の大名と連合軍を組む。
董卓が部下の呂布に暗殺された後、呂布を倒し、皇帝を擁立し権力を握る。
陶謙、袁紹や袁術などの諸大名を倒していき、魏王に就任する。
(簡単に言うと幕府のような政権を樹立する。)
中国北方、中原を制覇した曹操は南の呉に勢力を向ける。
歴史に名高い「赤壁の戦い」である。
曹操に対して劉備と呉王孫権は同盟を結ぶ。
そして諸葛亮と周瑜の火計によって魏軍を退ける。
後述するが、曹操は逃げ帰る際に張飛、趙雲、関羽らに追い回され、命からがら逃げのびる。
しかし圧倒的な国力で勢力を再び回復し、張魯、馬超などを滅ぼす。
呉の孫権と同盟を結び蜀の関羽を倒すものの、関羽の首を見て卒倒し、治療の甲斐なく没する。
広大な中国大陸の約3分の2を制し、かつ三国時代という大混乱の中にあったという状況でこれまでの功績を残した曹操は偉人として名を残すにふさわしい人物といえるだろう。
曹操孟徳の人柄・性格
曹操は知略に優れる人であった。
特に有名なものをいくつか紹介する。
「もうすぐ梅林があるぞ!」行軍を進めさせる
行軍中、兵士たちの飲み水が不足し始めた。
飲み水を求める兵士たちに、「もう少し歩けば梅林があるから、そこで好きなだけ梅を食べろ」と梅を意識させた。
東洋人は梅と聞くと自然とつばが湧いてくる。
その性質を利用し、水不足を乗り切った。
氷の要塞を築く
西涼の馬超が反乱を起こした際に、曹操軍は毎夜夜襲に悩まされる。
そこで冬季という季節と気候を利用し、土塀に水をかけて凍らせ、一夜にして氷の要塞を作らせた。
敵の部下をヘッドハンティング
劉備の部下徐庶という人物の才能に惚れ、何とか部下にしたいと曹操は考える。そこで、徐庶の母親に付け届けをし、その返礼の手紙の文字を真似、徐庶の降誘をはかる。
兵法書を完成、しかし自ら処分
自身の経験や学んだことを生かした兵法書として「孟徳新書」という兵法書を完成させる。
しかしこれは楊松にコケにされたため、焼き捨てた。
女性好き
女性を好み、赤壁の戦いを起こした理由の一つとも言われるのが「大喬と小喬」という二人の絶世の美女である。
その二人を手に入れ、晩年を過ごしたいという欲のため、呉への侵略(赤壁の戦い)を引き起こしたとも考えられている。
ちなみに大喬は呉王の孫権の兄、孫策の妻で小喬は呉の水軍提督周瑜の妻である。
また、張繍という武将が曹操に降伏した際、鄒氏という張繍の一族の女性に手を出してしまう。
現在でもタブーとされているのだが、これに張繍は怒り、曹操の暗殺計画を企てる。部下の悪来典韋という豪傑を失いながらも命からがら逃げのびることとなるが、曹操はこの豪傑の死をとても悔やんだといわれる。
曹操孟徳の魅力
戦乱の時代に生きた王として、様々な才能にあふれる。
軍略、知略、政治力にあふれ、才能のある部下を大切にし、諫言を聞く度量があるところである。
そのため、曹操の元には多くの豪傑をはじめ、智謀の士が集まり、三国一の勢力をもつに至る。
しかし大国の王としてはどれも必須だと考えられる。
しかし曹操のさらにすごいところは、命の危機に土下座をして見逃してもらうところにある。
世界に共通する認識として、武士、騎士の最期は「名を惜しむ」という考えがある。
しかし彼は赤壁の戦いで大敗し、100万人の将兵を失い、数名の部下と見るも無残な姿で本拠地に逃げ帰る際に出くわした敵将関羽に、昔の恩義を元に見逃すことを要求する。
その際に土下座をし、関羽の「弱者へ情けをかけてしまう」という性格を逆手にとってしまうのだ。そうして関羽は曹操を見逃してしまう。
部下の目の前で惜しげもなく敵将に土下座ができる王が果たしているだろうか。
それだけ曹操という人物の度量の大きさを示す物語であるといえる。
曹操孟徳を探報できる地、赤壁
曹操孟徳を探報できる地といえば赤壁はどうだろうか。
長江に面して切り立った崖に夕日が赤く壁に映えるところから赤壁というそうだ。
「三国志演義」では、諸葛亮が「東南の風」を妖術で巻き起こし、火計によって曹操の水軍が壊滅させられたと伝わる。
真偽は明らかではないが、その歴史のロマンを感じ取ることができるのではないだろうか。
身近に曹操孟徳を感じ取るには
三国志は、三国志、三国無双(KOEI)や三国志大戦(SEGA)などのゲームの題材にもなっており、子供も大人も身近なところからも親しむことができる。
書籍として最も親しみやすいのは横山光輝作の「三国志」全60巻であろう。
横山氏が15年以上の歳月をかけて書いた大河漫画である。
勧める理由としてはまず、親しみやすい作画で登場人物それぞれに特徴をもたせているところ。
何度も読み返してみたくなるのである。
特に曹操は劉備玄徳と並ぶ、もう一方の主人公として描かれているのである。
成立してから30年以上経つのだが、現在でも何度も重版されており、コンビニ等でも簡単に手に入れることができるところである。